親の食事で「最近かむのがつらそう」「むせることが増えた」と感じたとき、まず知っておきたいのが介護食の種類です。介護食は、かむ力と飲み込む力に合わせて、やわらか食・刻み食・ミキサー食・ムース食・ゼリー食・流動食の6つの形態に大きく分けられます。どれが合うかは本人の食べる力で決まるため、見た目の食べやすさだけで選ぶと、かえって飲み込みにくくなることもあります。
ここでは、6つの形態の違いを一覧表で整理したうえで、高齢者食や嚥下食との違い、市販品の硬さを見分ける公的な基準、選び方、家庭で用意するときの注意点を順に取り上げます。
介護食の種類は食べる力で分かれる6つの形態
介護食とは、かむ力や飲み込む力が弱くなった人でも、口から安全に食べられるように硬さや形を調整した食事のことです。硬さの段階が上がるほど、食材を細かくしたり、なめらかにしたり、ゼリー状に固めたりと手の加え方が変わります。
同じ人でも、体調や病気の回復にあわせて合う形態が変わることがあります。一度決めた形態をずっと続けるのではなく、食事の様子を見ながら見直していく前提で、形態ごとの特徴を押さえておきましょう。
介護食6種類の硬さと特徴を一覧表で比べる
6つの形態を、かむ力が必要な順に並べると次のようになります。上にあるものほど普通の食事に近く、下にいくほどかむ力を使わずに食べられる形になります。
| 形態 | 状態 | 向いている人の目安 |
|---|---|---|
| やわらか食 | 形は残したまま、歯ぐきでつぶせる程度に煮る・蒸す | 硬いものや大きいものが食べにくい人 |
| 刻み食 | 食材を細かく刻んで一口の負担を減らす | かむ力は弱いが飲み込みに問題が少ない人 |
| ミキサー食 | 料理をミキサーにかけてペースト状にする | かむことが難しい人 |
| ムース食 | ペーストをゲル化剤で固め、料理の形に成形する | かむことが難しく、見た目も楽しみたい人 |
| ゼリー食 | ゼリー状に固め、口の中でばらけにくくする | 飲み込む力がかなり弱い人 |
| 流動食 | 重湯やスープ、栄養剤などの液状のもの | 固形物を口に入れることが難しい人 |
表の順番は目安で、下にある形態ほど必ず食べやすいというわけではありません。主食はやわらか食、おかずはムース食というように、料理ごとに形態を変える組み合わせもよく行われます。病院や施設から食事の段階を伝えられるときは、後で紹介する嚥下調整食分類のコードで示されることもあります。
やわらか食は歯ぐきでつぶせる硬さに煮た食事
やわらか食は、普段の料理と同じ形を残したまま、長めに煮る・蒸す・圧力鍋にかけるなどして硬さを落とした食事です。軟菜食と呼ばれることもあり、介護食の中では最も普通の食事に近い形態です。なお「ソフト食」という言葉は、施設やメーカーによって、やわらか食を指す場合も、ミキサーにかけて固め直したムース食に近いものを指す場合もあります。見た目が変わらないため、食事を楽しみにしている人にとって受け入れやすい点が特徴です。
向いているのは、硬い肉や生野菜は食べにくくなったものの、飲み込むことには大きな問題がない人です。ごはんであれば、やわらかめに炊いたごはんから全がゆ程度が目安になります。入れ歯が合わなくなった、歯の治療中で一時的にかみにくいといった場合にも取り入れやすく、在宅で最初に試されることの多い形態です。ごはんの目安で比べると、市販品の基準であるユニバーサルデザインフードの「歯ぐきでつぶせる」にあたる硬さです。
刻み食は食材を細かく切ってかむ負担を減らす
刻み食は、調理した料理を包丁やフードプロセッサーで細かく刻み、一口ごとにかむ回数を減らした食事です。普段の料理をそのまま使えるため、家庭でも用意しやすい形態です。刻む大きさは、粗刻みから細かい極刻みまで、本人のかむ力にあわせて調整します。刻む前に食材をやわらかく煮ておくと、刻んだあとも口の中でつぶしやすくなります。硬いまま刻むと粒そのものが硬く残り、かむ力が弱い人にとっては食べにくさが変わりません。
ただし、細かくした食材は口の中でばらけやすく、ひとまとまりにして飲み込むことが難しくなります。そのため、飲み込む力が弱っている人に刻み食を出すと、細かな粒がのどに残ってむせることがあります。刻み食を使う場合は、あんかけにしたり、とろみのある汁と和えたりして、口の中でまとまりやすくする工夫をあわせて行うと食べやすくなります。
ミキサー食は料理をなめらかなペースト状にする
ミキサー食は、料理にだし汁や水分を加えてミキサーにかけ、粒のないなめらかなペースト状にした食事です。かむ必要がほとんどないため、歯がない人や、かむ力が大きく落ちた人でも口に入れやすくなります。ピューレ食やペースト食と呼ばれることもあります。ごぼうやたけのこのように繊維の多い食材は、ミキサーにかけても筋が残りやすいため、裏ごしをして筋を取り除くと、口当たりがなめらかになります。
一方で、水分を加える分だけ量が増えるため、同じ一皿でも含まれる栄養が薄まりやすい点に注意が必要です。見た目で料理名がわかりにくく、食欲が落ちる人もいます。料理ごとに分けてミキサーにかけ、色の違いを残して盛り付けると、何を食べているかがわかりやすくなります。水分が多すぎると飲み込むときに流れ込みやすくなるため、粘度は本人の飲み込む力にあわせて調整します。
ムース食はミキサー食を固めて形を再現した食事
ムース食は、ミキサー食をゲル化剤などで固め、型に入れて魚の切り身や野菜の形に近づけた食事です。舌と上あごで押しつぶせるやわらかさでありながら、見た目は元の料理に近いため、ミキサー食では食欲がわきにくかった人にも受け入れられやすい形態です。ゲル化剤には、加熱して溶かしてから冷やして固めるものや、加熱せずに混ぜるだけで固まるものなどがあり、使う料理や作る量にあわせて選べます。
口の中でばらけにくく、ひとまとまりのまま飲み込みやすい点もムース食の利点です。反面、家庭で一から作るにはゲル化剤の分量や固める時間の調整が必要で、手間がかかります。毎食すべてを手作りしようとせず、市販のムース食を組み合わせると、作る人の負担を抑えながら続けやすくなります。市販品は製品によって温め方の指定が異なり、温めすぎると形が崩れるものもあるため、パッケージの説明に沿って用意します。
ゼリー食は飲み込む力が弱い人向けのまとまった形
ゼリー食は、食べ物や飲み物をゼラチンなどでゼリー状に固めた食事です。表面がなめらかで口の中でばらけにくく、スプーンですくった形のまま飲み込めるため、飲み込む力がかなり弱くなった人でも比較的安全に食べやすい形態です。水分補給をお茶ゼリーで行うなど、飲み物に使われることもあります。
医療・介護の現場では、飲み込みの訓練を始める段階の食事としても使われます。ただし、ゼリーであればどれでもよいわけではなく、口の中で溶けて水のようになるものや、硬すぎて崩れにくいものはかえって飲み込みにくくなります。たとえばゼラチンで固めたゼリーは体温に近い温度で溶けやすく、口の中に長くとどめると液体に戻ることがあります。ゼリーの硬さや溶けやすさは製品ごとに違うため、スプーンですくったときの形の残り方や、食べたあとのむせの有無を見ながら選びます。
流動食はかまずに口から飲み込める液状の食事
流動食は、重湯やポタージュスープ、栄養剤などの液状の食事です。かむ必要がなく、固形物を口に入れることが難しい時期でも、口から水分や栄養をとれる点が特徴です。病気や手術のあと、体力が落ちている時期に一時的に使われることもあります。市販の栄養剤には、医師が処方する医薬品として扱われるものと、食品として購入できるものがあり、どちらを使うかは体の状態によって変わります。
注意したいのは、さらさらした液体ほどのどを流れる速さが速く、飲み込む力が弱い人ほどむせやすいという点です。そのため、流動食でも飲み込みに不安がある場合は、とろみを付けて流れる速さを抑えるのが一般的です。重湯やスープだけでは必要なエネルギーやたんぱく質を満たしにくいため、流動食の期間が長くなる場合は、栄養剤を組み合わせて量の不足を補うのが一般的です。
介護食と高齢者食・嚥下食は対象となる人の状態が違う
介護食と似た言葉に、高齢者食と嚥下食があります。3つは明確に線引きされた用語ではありませんが、誰に向けた食事なのかという点で考えると区別しやすくなります。
高齢者食は食べる力が保たれている人向け、介護食はかむ力や飲み込む力が落ちた人向け、嚥下食はその中でも飲み込みに障害がある人向けと考えると、範囲の違いが見えてきます。
高齢者食は量や味付けを調整した普通の食事
高齢者食は、かむ力や飲み込む力に大きな問題がない高齢者に向けて、量や味付け、切り方を調整した食事です。一食の量を少なめにする、塩分を控える、食材を一口大に切る、骨や皮を取り除くといった工夫が中心で、料理の形そのものは普通の食事と変わりません。
介護食との違いは、硬さや形まで変えるかどうかです。高齢者食は食べる力が保たれていることを前提にしているため、たとえばむせが増えてきた人に高齢者食を続けると、食べる力に合わない食事になってしまいます。食事中にむせる、食べるのに時間がかかる、硬いものを残すといった変化が見られたら、介護食への切り替えを考える時期の目安になります。高齢者食のうちから、一口の量を小さくする、よくかんでから飲み込むよう声をかけるといった配慮を続けておくと、食べる力の変化にも早く気づきやすくなります。
嚥下食は飲み込みやすさに配慮した介護食の一種
嚥下食は、食べ物を飲み込む働きである嚥下に障害がある人向けに、飲み込みやすさを最優先して調整した食事です。医療や介護の現場では嚥下調整食とも呼ばれ、介護食の中でも特に飲み込む力への配慮が必要な段階を指します。脳卒中の後遺症や、加齢による飲み込む力の低下などで必要になることがあります。
嚥下食で大切なのは、口の中でばらけないこと、べたつかないこと、のどを適度な速さで通ることです。そのため、ミキサー食やムース食、ゼリー食、とろみを付けた飲み物などが中心になります。パサつきやすい焼き魚や、口の中で散らばりやすいひき肉料理なども、あんを絡めるなどしてまとまりやすくしてから出すのが一般的です。どの段階の嚥下食が合うかは、医師や言語聴覚士が飲み込みの状態を評価したうえで決めるのが基本です。
介護食の硬さの目安になる3つの公的な基準
やわらか食やムース食といった呼び方は、施設やメーカーによって指す硬さが少しずつ異なります。そこで、市販品の硬さを見分けたり、病院と家庭で同じ段階の食事を用意したりするときの目安として、業界団体・国・学会がそれぞれ基準を示しています。
市販品を選ぶときはユニバーサルデザインフードとスマイルケア食、病院や施設から食事の段階を伝えられたときは嚥下調整食分類2021と、使う場面で見る基準が変わります。
ユニバーサルデザインフードは「舌でつぶせる」など4区分
ユニバーサルデザインフード(UDF)は、日本介護食品協議会が定めた規格に合う市販の介護食品に付けられるマークです。硬さや粘度の規格にもとづいて、「容易にかめる」「歯ぐきでつぶせる」「舌でつぶせる」「かまなくてよい」の4つの区分がパッケージに表示されています。
| 区分 | かむ力の目安 | 飲み込む力の目安 | ごはんの目安 |
|---|---|---|---|
| 容易にかめる | 硬いものや大きいものはやや食べづらい | 普通に飲み込める | ごはん〜やわらかごはん |
| 歯ぐきでつぶせる | 硬いものや大きいものは食べづらい | ものによっては飲み込みづらいことがある | やわらかごはん〜全がゆ |
| 舌でつぶせる | 細かくてやわらかければ食べられる | 水やお茶が飲み込みづらいことがある | 全がゆ |
| かまなくてよい | 固形物は小さくても食べづらい | 水やお茶が飲み込みづらい | ペーストがゆ |
区分の名前がそのまま食べる力の目安になっているため、本人の様子と照らし合わせて選びやすいのがUDFの特徴です。レトルトのおかずやおかゆのほか、飲み物や料理にとろみを付けるとろみ調整食品にもUDFの表示があります。ドラッグストアやスーパーの介護食コーナーでは、このマークを目印にすると目的の硬さの商品を探しやすくなります。
スマイルケア食は青・黄・赤のマークで見分ける
スマイルケア食は、これまで介護食品と呼ばれてきた食品の範囲を農林水産省が整理し、新しい介護食品として示した枠組みです。対象となる人の状態に応じて、3色のマークで分けられています。
- 青マーク:かむこと・飲み込むことに問題はないが、健康維持のために栄養補給が必要な人向け
- 黄マーク:かむことに問題がある人向け
- 赤マーク:飲み込むことに問題がある人向け
スマイルケア食の特徴は、かむ力や飲み込む力が保たれている人向けの青マークがある点です。食が細くなって体重が減ってきたなど、硬さよりも栄養の不足が心配な段階から選べるようになっています。黄マークは「そしゃく配慮食品」の日本農林規格(JAS)のマークが付いた食品、赤マークは消費者庁の特別用途食品のうち「えん下困難者用食品」として表示の許可を得た食品が対象とされており、かむ力と飲み込む力のどちらに問題があるかで、見るマークが変わります。
嚥下調整食分類2021は医療・介護現場の共通基準
嚥下調整食分類2021は、日本摂食嚥下リハビリテーション学会が示した、飲み込みに配慮した食事の段階分けです。病院、介護施設、在宅のあいだで食事の段階を共通の言葉で伝えられるように作られており、退院時の説明や施設間の申し送りで使われることがあります。
食事はコード0からコード4までの5段階に分かれ、数字が大きいほど普通の食事に近づきます。コード0はゼリー状の「0j」ととろみ状の「0t」に、コード1はゼリー状の「1j」のみ、コード2は「2-1」と「2-2」に分かれています。また、飲み物に付けるとろみも、薄いとろみ・中間のとろみ・濃いとろみの3段階で示されています。病院から「コード3の食事」「中間のとろみ」などと伝えられたときは、この分類をもとに、自宅でどの程度の硬さやとろみにすればよいかを担当の管理栄養士や言語聴覚士に確認しておくと、家庭でも同じ段階の食事を用意しやすくなります。
介護食の選び方は専門職への相談から始める
介護食を選ぶときに最初に確かめたいのは、本人がどのくらいかめて、どのくらい飲み込めるかです。食べる力に合わない硬さの食事は、やわらかすぎても硬すぎても、むせや食欲の低下につながります。
食べる力の見極めは専門職に相談し、その結果をもとに市販品や宅配サービスを選ぶ、という順番で考えると、家族だけで判断に迷う場面を減らせます。
むせや食べこぼしの変化を医師や歯科医に伝える
かむ力と飲み込む力は、家族が見ているだけでは判断しにくいものです。とくに飲み込む力の低下は、むせがなくても食べ物が気管に入ってしまう場合があり、外からは気づきにくいことがあります。食事中によくむせる、食後に声がかすれる、食べるのに以前より時間がかかるといった様子があれば、かかりつけ医や歯科医師に相談するのが第一歩です。口の端から食べ物がこぼれる、飲み込んだあとも口の中に食べ物が残っているといった変化も、かむ力や舌の動きが落ちているサインになることがあるため、あわせて伝えておきましょう。
必要に応じて、飲み込みの専門職である言語聴覚士や、食事内容の相談にのる管理栄養士につないでもらえることもあります。どこに相談すればよいかわからない場合は、お住まいの地域の地域包括支援センターに問い合わせると、相談先を案内してもらえます。介護サービスを利用している場合は、担当のケアマネジャーに食事の様子を伝えておくと、サービス内容の見直しにもつなげやすくなります。
ドラッグストアのレトルトや宅配の介護食は区分表示で選ぶ
介護食は毎食手作りする必要はなく、ドラッグストアやスーパー、通販で買えるレトルトや冷凍の市販品を上手に使うと、作る人の負担を大きく減らせます。市販品を選ぶときは、パッケージのユニバーサルデザインフードの区分やスマイルケア食のマークを見て、専門職に確認した食べる力と合っているかを確かめます。
買い物や温めの手間まで減らしたい場合は、やわらか食やムース食のコースを用意した高齢者向けの宅配弁当を使う方法もあります。冷凍で届くものが多く、電子レンジで温めるだけで食べられるため、一人暮らしの親の食事を離れて暮らす家族が手配するケースにも向いています。ただし、商品によって硬さの基準の表し方が異なるため、どの程度のやわらかさなのかは注文前に説明をよく読み、はじめは少量から試して本人に合うかを確かめましょう。
家庭で介護食を作るときに気をつけたい注意点
家庭で介護食を用意するときは、食べやすい硬さにすることだけでなく、とろみの加減や栄養の量、食べるときの姿勢にも目を向ける必要があります。硬さを合わせても、ほかの条件が整っていないと、むせや体重の減少につながることがあるためです。
いずれも、むせの回数や体重の変化といった日々の様子を手がかりに見直していくものです。変化に気づいたときに、どこから手を付ければよいかの目安にしてください。
とろみの付け方しだいで飲み込みやすさが変わる
水やお茶のようなさらさらした液体は、のどを流れる速さが速く、飲み込む力が弱い人はタイミングが合わずにむせやすくなります。とろみ調整食品を使って液体に適度なとろみを付けると、のどを通る速さがゆるやかになり、飲み込みのタイミングを合わせやすくなります。
ただし、とろみは濃ければよいというものではありません。濃すぎるとのどに張り付いて残りやすくなり、かえって飲み込みにくくなることがあります。製品によっては、混ぜてからとろみが安定するまでに時間がかかるものもあるため、使い方の説明に沿って、少し置いてから状態を確かめるのが基本です。みそ汁やジュースなど、飲み物の種類によってとろみの付きやすさが違う製品もあるため、同じ量を入れても毎回同じ状態になるとは限りません。病院などで指示されたとろみの濃さがある場合は、その濃さに合わせて使いましょう。
食べやすさを優先すると低栄養になりやすい
介護食では、食べやすさを優先するあまり、栄養が足りなくなることがあります。硬さや形を変えた食事は見た目や味の変化から食が進みにくくなることがあり、食べる量そのものが減りがちです。その結果、必要なエネルギーやたんぱく質が不足した低栄養の状態になると、筋力や体力が落ち、さらに食べる力が弱るという悪循環に陥るおそれがあります。
低栄養を防ぐには、一回の量を増やすよりも、少ない量で栄養をとれる工夫が役立ちます。たとえば、おかゆを作るときに卵や粉ミルクを加える、間食に栄養補助食品を取り入れるといった方法があります。スマイルケア食の青マークが付いた食品は、こうした栄養補給を目的とした商品を探すときの目印になります。体重を定期的に量り、減り続けているようであれば、医師や管理栄養士に相談して食事内容を見直しましょう。
食事中の姿勢を整えると誤嚥を防ぎやすくなる
介護食の硬さが合っていても、食べるときの姿勢が崩れていると、食べ物が気管に入る誤嚥が起こりやすくなります。いすに深く腰かけて足の裏を床につけ、あごを軽く引いた姿勢をとると、食べ物が気管に入りにくくなります。ベッドの上で食べる場合も、背もたれを起こし、首が後ろに反らないよう枕などで調整します。
食事の前には、しっかり目が覚めているかを確かめ、眠そうなときは無理に食べさせないことも大切です。食べ終わったあとすぐに横になると、胃の内容物が逆流しやすくなるため、しばらくは体を起こした姿勢で過ごします。介助する人は立ったまま食べさせると本人の顔が上を向きやすくなるため、隣に座って目線の高さをそろえて介助するのが基本です。口の中に食べかすが残ると誤嚥の原因になることもあるため、食後の歯みがきやうがいで口の中を清潔に保ちましょう。
介護食の種類や選び方に関するよくある質問
介護食の費用や保存方法、関連する資格についての疑問に答えます。
介護食は介護保険の対象になりますか?
市販の介護食や民間の宅配サービスの代金に、介護保険は使えません。介護保険と食費の関係で知っておきたいのは、介護保険施設やショートステイを利用するときの食費も、介護サービスの費用とは別に利用者が負担する扱いになっている点です。所得によっては負担を軽くする制度があるため、施設の利用を考える段階で食費の扱いを聞いておくと、月々の費用を見積もりやすくなります。なお、要支援の認定を受けた人などは、市区町村の介護予防・日常生活支援総合事業で配食サービスを利用できる場合があります。
介護食は冷凍や作り置きができますか?
ミキサー食やムース食などは、一食分ずつ小分けにして冷凍しておくと、忙しい日の準備を減らせます。作ったら早めに冷まして冷凍し、解凍したものは再冷凍せずに使い切るのが基本です。ただし、ゼリー状に固めたものは、使ったゲル化剤によっては冷凍と解凍で水分が分離し、なめらかさが変わることがあります。解凍後は、硬さやとろみが元の状態と変わっていないかを確かめてから出しましょう。保存容器には作った日付と料理名を書いておくと、中身がわかりにくいミキサー食でも取り違えを防げます。家庭での冷凍保存はできるだけ短い期間で使い切るようにし、においや色に違和感があるものは無理に使わないようにしましょう。
介護食士とはどのような資格ですか?
介護食士は、公益社団法人全国調理職業訓練協会が認定している民間資格です。介護が必要な人の食事を作るための調理技術や知識を学ぶもので、1級から3級まであり、3級でも72時間の講習を受ける内容になっています。ホームヘルパーや栄養士、調理師、介護福祉士などに受講者が多い一方、3級は一般の人も数多く受講しています。講習は、介護食士概論や栄養学、食品衛生学などの学科と、調理の実習で構成されています。受講できる学校や講習の日程は地域によって異なるため、実際に受講を考える場合は、協会の案内で開講している施設を確認してから申し込むとよいでしょう。

